富士山と高山病
富士山に登ると、多くの高山病になっている人を見かけます。
苦しそうな顔でとても辛そうな人、
ものすごいスローペースでよろよろと歩いている人、
ぐったりして登山道の脇に座り込んでいる人、
びっくりするくらい顔色が悪い人、
を標高3000mくらいから、よく見かけるようになります。
多くの人が高山病になる理由は、
高度順応が足りない
前半オーバーペース
の2つだと思います。
富士宮ルートから登ったときのことです。
五合目でシャトルバスを降りて、私がのんびりと準備をしていると・・・
ほとんどの人が周囲からいなくなってしまいました。
富士宮ルート五合目の標高は2400m、水ヶ塚駐車場は1450mです。
バスで一気に1000m近く上がっているので、山に慣れていない人は特に、すぐに登らないほうが良いと思うのです。
多くの富士山のガイドブックや雑誌、本などにも、五合目で30分から1時間は休憩し、標高に身体を慣らした方が良いと書いてあります。
富士登山オフィシャルサイトには、
五合目付近の標高で1時間から2時間程度休憩し、高度順応
と書いてあります。↓
高山病について|安全・リスク情報|富士登山オフィシャルサイト
みなさん、高度順応をしないままに登り始めていました。(子どもや山に慣れていなさそうに見える年配の方もいましたが・・・。)
7時30分頃、新七合目の山小屋から、ゆっくり登ってくる子どもを見下ろして、
「置いてくよ~。」「速く~。」
と声をかけているお母さんらしい人がいました。
子どもは高山病になりやすいのです。標高2780mですから、すでに高山病の症状が現れているのかもしれません。
そもそも、始発(6時)のバスに乗ってきたはずですから、この時間にここまで登っているのはペースが速すぎです。(バスが五合目に着いたのは6時30分頃です。)
五合目で標高に身体を慣らすための休憩もしていないはずです。
まだ登り始めてから1時間程度なので、大人は余裕があるのだと思います。でも、大人だって、山登りに慣れていない人は、標高3000m超えたらこのペースでは歩けないと思います。
ありえない!!
と思いました。(黙って通り過ぎましたが・・・。)
この後も、この日は本当に多くの高山病の人を見かけました。
多くの人は前半オーバーペースなのだと思います。
八合目くらいまでは、人を抜かすことは少なかったのですが、八合目(標高3200くらい)より上からは、多くの人を抜かしました。
息が上がって苦しそうな人が増え、みなさんかなりのゆっくりペースになります。
そうなる前に、前半もっとゆっくりペースで登って身体を慣らした方が、結果的には短時間で登れるのではないかな?と思います。
下山中は、八合目あたりで、ぐったりしている子どもをお父さんがおんぶして、お母さんが2つのザックを持って登っている親子を見ました。
そこまでして子どもをもっと高い所へ連れていく意味があるのでしょうか?
高くなればなるほど、高山病は悪化して辛くなるのです。
山が嫌いになってしまわないでしょうか?
たとえ撤退したとしても、楽しい思い出があれば、大きくなったときに
「また登りたい!」
と言うと思います。
でも、辛い思いをしたら
「山は辛い。二度と登らない。」
と思ってしまうかもしれません。
山好きの私としては、それはあまりにも悲しい・・・と思います。
今年、御殿場ルートから登ったときは
そういえば、高山病の人を一人も見かけませんでした。
今回は、「富士登山駅伝」観戦が目的の人が多かったということもありますが、それだけではないと思います。
今まで御殿場ルートから登ったときのことを振り返ってみても、高山病の人を見かけたことは比較的少ないです。(登山者の数が極端に少ないということもありますが・・・。)
御殿場ルートは五合目の標高が1440mで一番低く、距離が長いので、登りながら高度順応できるのだと思います。
須走ルートから登ったときは
吉田ルートと合流した後に、複数の登山ツアーの団体さんに遭遇しました。
かなりゆっくりペースで歩いていました。
10時半過ぎて八合目付近を歩いているということは、泊まった山小屋は標高低めのはずです。小屋の前で御来光を見てから、ゆっくり朝食を食べて、ゆっくりスタートしたと思われます。
みなさんきちんと列になって、特に辛そうな様子もなく同じペースで歩いているように見えました。
参加者が高山病にならないように考えられたツアーなのだろうなと思いました。
私がこれまでの経験から、これから富士山に登るみなさんに伝えたいことは、
五合目で高度順応をしっかりする
前半はこまめな休憩をとりながらゆっくりペース
の2つです。
例えば、体力があって日帰りチャレンジしたい場合でも、
五合目でしっかり高度順応し、前半ゆっくりペースにしたほうが、結果的には早い時間に五合目に下りて来られると思います。
宿泊する場合は、寝ている間に高山病になってしまう場合もあります。子どもや高山病が心配な人は、標高低め(3000m以下)の山小屋に泊まると良いです。
体力のある方には、私は御殿場ルートをおすすめします。
五合目まで車で行けるのでシャトルバスに乗り換える必要がありませんし、混雑することがありません。そして下山では「大砂走り」を楽しむことができます。
↓富士登山オフィシャルサイトは事前にチェックするといいです。
富士山で高山病になって辛い思いをして、
「二度と登りたくない。」
と思ってしまう人がいるのは、とても残念なことです。
富士山は、私が一番好きな山です。
日本一のとってもすてきな山です。
多くの人が高山病になることなく、楽しく登れると嬉しいです。